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第76話  スクリーンの横顔

Penulis: 菊池まりな
last update Tanggal publikasi: 2026-08-10 13:00:19

映画館の暗闇に、朱里の心臓の音だけがやけに大きく響いていた。

 スクリーンでは派手なカーチェイス。爆音が鳴るたびに、彼女の肩がびくっと揺れる。

「……大丈夫か?」

 隣の嵩が、小さく囁いた。

 その声に、朱里は反射的に首を横に振る。

「だ、だいじょぶ……!」

 ほんとは全然大丈夫じゃない。

 なのに「怖い」と言えないのは、あの一言が頭の中で繰り返されるから。

 ──なんで、私なの?

 自分で言ったくせに、答えを聞くのが怖くてたまらなかった。

 嵩は映画のチケットをもらったから、と気軽な感じで誘ってくれた。

 でも、あの時の「なんで私なの?」という言葉を、彼がどう受け取ったのか──そのことがずっと、心の奥でひっかかっていた。

 スクリーンの光に照らされた嵩の横顔を、朱里は
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